2018年5月5日土曜日

陸自生活を体験 企業研修で人気

中日新聞より

10キロ行軍訓練の様子。前から2人目が記者=名古屋市守山区の守山駐屯地で(第10師団提供)
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 自衛隊の駐屯地で行われる「隊内生活体験」が企業などの研修で人気だ。陸上自衛隊守山駐屯地(名古屋市守山区)では、毎年百件近い問い合わせがあり、大企業から中小企業まで年間二百~二百五十人を受け入れている。何が行われているのか。記者も二泊三日の隊内生活体験に参加してみた。
 戦闘服にブーツで、班ごとに、列が乱れぬよう駐屯地内を進む。重り代わりの二リットル入りペットボトル二本と水分補給用のペットボトルを入れたリュックを背負い、四十五分歩いて十五分休憩を四回繰り返す。
 二日目にあった十キロの行軍訓練。初日の体力測定で全身筋肉痛になっていた体で臨んだ。気温は二五・一度。慣れないブーツに足の裏には水膨れができ、痛みと疲れで気が遠くなる。前後に仲間がいるから何とか歩き切った。
 「次の瞬間に大地震が起きるかもしれない。常に次の行動に備えるように」。初日に教官に厳しく言われた。昼の訓練で疲れ切っていても夜にはブーツを手入れし、翌日の訓練に使う道具を用意した。
 十八企業から今春入社の二十代を中心に四十九人で、駐屯地内の宿舎に寝泊まりした。腕立て伏せや腹筋、三キロ走といった体力測定をはじめ、敬礼や行進を学ぶ基本教練、ほふく前進訓練など内容は盛りだくさん。見知らぬ人同士の九~十人で班をつくり、行動をともにする。一人になるのはトイレの個室に入ったときぐらい。スケジュールには余裕がなく、食事は十分ほどでかき込んだ。早朝に予定より早く起こされる非常呼集訓練もあった。
 こうした訓練は、企業側の要望を受けて考えられた内容で、理不尽さやストレスへの耐性や、協調性を養うのが狙いという。引率として参加した食料品商社の人事労務課の寺岡豊さん(41)も「社会人としての自覚につながる訓練内容だった。ここで学んだ規律を会社でも生かしてほしい」と話した。今春入社した河原直樹さん(22)は「過密な日程だったけど集団で時間管理ができた」と充足感をにじませた。
 記者も全日程が終了した時には達成感とすがすがしさを感じた。事前の準備の大切さなど改めて意識させられたことはある。一方で、たった二泊三日で理不尽さや、集団生活、ストレスにも慣れていくことに驚きも感じた。仕事をする上でこうした素地は必要かもしれないが、物言わぬ組織人をつくる可能性はないか。ここで学んだことを働く側も企業側もどう活用するか、問われているように感じた。
 (塚田真裕)

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