教員免許に10年の期限を設け、更新時の講習を受けないと失効する「教員免許更新制」の見直しを議論している中央教育審議会の委員会が24日開かれ、とりまとめ役の加治佐哲也・兵庫教育大学長が、制度の廃止も検討していることを明らかにした。次回の委員会で存廃の結論を出す予定。

 この日の委員会では、更新制の見直しを検討している文部科学省が「そもそも免許状に有効期限を設けて更新する仕組みが必要と言えるのか」と議題を提案。更新に必要な講習ではなく、各教育委員会が行う研修に加えて、大学や民間会社などが作るプログラムを利用する仕組みを案として示した。

 その上で加治佐氏が「こういうことができれば、更新制でなくてもできるのではないか」と発言。一部の委員から、更新制の存続を前提にした意見があったため明確に言及はしなかったが、「(次回以降に)存続するか廃止するかという結論を出す」とも述べた。

 免許更新制は、第1次安倍政権の「教育再生会議」などの提言を受け2009年度に導入された。教員が10年に1度、国の教育政策や学校の変化など最新の知識や技能について大学などの講習を2年間で計30時間以上受け、免許を更新する仕組みだ。ただ、夏休みを使って講習を受けるなど教員の負担増が指摘され、更新を怠った教員が失職する「うっかり失効」も続発。各教委が行う研修との違いが明確でないとの声も出ていた。

 萩生田光一文科相は3月、中教審に対して「教員の養成・採用・研修のあり方」を諮問した中で、免許更新制について「抜本的な見直しを」と促し、早期に結論を出すよう求めていた。(伊藤和行)